無痛治療の難しさとかかりつけ歯科
Er-Yagレーザーによる無痛治療を開始してからもう何年か経ちますが、
何年経っても治療の難しさというものを感じます。
ひとつにはレーザーは従来の切削器具に比べて痛みは少ないのですが、
決して万能というわけではないので進行したカリエスの場合は麻酔が必要なこともあります。
そしてもう一つは無痛治療は機械に依るところが大きいとはいえ心理的な面も大きな要因です。
患者さんから信頼を得ていなければどんなにいい機械を用いても安心感を与えることはできないし、不信感は恐怖に繋がります。
痛みに対する感覚の鋭敏さを助長する因子として恐怖心というのが大きいと思います。
当院では小児に対する治療は可能な限り痛みのない治療や予防処置で信頼関係を築いてからおこなうようにしています。
しかしすでに痛みがある状態で来院された場合は信頼関係や安心感を醸成する前に治療を開始しなければなりません。
そうなるとそのお子さんにとって歯科は「恐怖の対象」として心に刻まれてしまいます。
そして歯医者嫌いになったお子さんはますます歯医者から足が遠のき痛みを感じるまで来院してもらえません。
なので、妊産婦検診を受けられた妊婦さんやお母さんに積極的に声をかけて虫歯が無くてもお子さんを連れてきていただいたり、
お母さんの治療にも一緒に連れてきていただいたりしています。
実は大人に対してのアプローチもおんなじなんですね。
痛くなってからお越しになると、信頼関係を築く前に治療を始めないといけません。
患者さんからみても、この歯医者がどんな人で信用できるのかわからないままとりあえず除痛治療を受けなければなりません。
だから、なにも問題がなくても日頃からかかりつけの歯医者を決めて予防治療を受けてその歯医者が信頼できる人なのか、
患者さん側からも見極めておくのも重要だと思います。