今日は関西医大の耳鼻咽喉科が主催している勉強会に行ってきました。

内容は周術期の口腔管理についてと薬剤関連顎骨壊死、カンジダ症についてで、

僕の出身講座である長崎大学旧第一口腔外科、現在の口腔腫瘍治療学分野の梅田教授が来阪されての講習でした。

多施設との共同研究のため豊富なデータから読み解く治療法の有効性が面白かったです。

 

まずは周術期口腔管理を臨床データからみて効率のいい(というか効果のない方法もある)方法を考えていくというもの。

術前の歯石除去などの歯科的介入は前日だと遅すぎるとか、術後最も効果的な口腔内最近を減らす方法など、

データを用いた説得力のある内容で大変勉強になりました。

 

次はちょっと前までビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)と言われていましたが、現在は薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)といわれているもの。

今の口腔外科学会のポジョションペーパーでは4年以上ビスフォスフォネート製剤を内服している患者さんは抜歯前に2か月休薬がいわれていますが、

データを解析すると休薬は必要がないとのこと。

これは衝撃でした。

そして治療法も外科的治療が第一選択で、保存的治療より治療成績がいいとのこと。

結論から言うとポジションペーパーとは真逆のデータが出ているわけです。

次のポジションペーパーでは大幅に改定されるかもしれません。

臨床データの積み重ねでようやくエビデンスのある対処法が確立されてきているように感じました。

 

そして最後はカンジダについて。

放射線治療、化学療法で生じる口内炎を予防するために強めのステロイドを用いるのですが、

そうなると問題になるのがカンジダ症です。

その予防に抗真菌剤の新薬を用いるという研究をおこなっているそうです。

この新薬については今まで長く使われてきた抗真菌剤の欠点を補っている薬で、使いやすさがあります。

問題はどれくらいの薬価が設定されているかですが。

 

耳鼻咽喉科の先生への講習でしたが、思いもよらず凄く勉強になりました。

それと同時にいまだ発展途上の分野であ周術期口腔管理と薬剤関連顎骨壊死の治療の難しさ、対応の難しさを感じました。

常に最新かつ信憑性のある知見を学び続けないといけないと強く感じました。

ただ、学会の発表するポジションペーパーをこうまでデータが裏切るとなるとなにを信じればいいか、難しいところですね。

岸本歯科医院